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人と健康と動物用医薬品等

使用の規制

要指示医薬品

動物用医薬品には「要指示医薬品」とそれ以外の「一般医薬品」があります。「要指示医薬品」を入手する場合は、獣医師自身が使用・処方するか、獣医師の診察を受けた上で獣医師が発行する“処方箋”や“指示書”が必要となります。
「要指示医薬品」には抗生物質やホルモン剤、ワクチン等が該当します。
「要指示医薬品」には副作用の強いものや病原菌が耐性を示しやすくなるものがあり、間違った使い方をすると病気が治りにくくなったり、悪化する可能性があります。その為、専門的な知識を持った獣医師が使用の可否を判断し、投与回数等を指示する必要があります。また、牛や豚等は使用方法を間違うと、生産される肉、乳製品、卵等の畜水産物中に医薬品が残留してしまう事がある為、動物用医薬品の使用者が獣医師の指示を守る事は医薬品の安全確保、ひいては食の安全を守る事にもつながっています。

使用規制省令

動物用医薬品の中には使用が規制されている医薬品があります。これは医薬品医療機器等法の規定に基づく使用規制省令*によって定められた薬剤で、主に牛、豚、鶏等食に供する為に飼育されている動物に使用する薬剤が対象となります。使用規制省令は、食卓に並ぶ肉や乳製品、卵等の畜水産物中に薬剤が残留する事を防ぐ為に制定されたもので、この省令で定められた薬剤については、薬剤投与後、動物の体内から薬剤が消失する期間を検討し、使用禁止期間が定められており、その期間は対象となる動物にその薬剤を投与する事が禁止されています。これに違反した使用者(獣医師、畜産農家および水産養殖業者等)には罰則が適用されます。
またこの他に「休薬期間」というものも存在します。休薬期間は法律による罰則の適用はありませんが、休薬期間を守らない場合畜水産物中に残留する医薬品成分の量が残留基準値を超えてしまい、食品衛生法違反になってしまう恐れがあります。
このように動物用医薬品には様々な使用規制があり、皆さんの食卓に安全な畜水産物が供給される仕組みとなっています。

*「動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令」(平成25年農林水産省令第44号)

麻薬及び向精神薬取締法について

近年、トピックになりましたが、動物病院では麻酔薬として幅広く使用されているケタミンが麻薬および向精神薬取締法の対象(平成19年1月1日施行)となりました。
これによりケタミンを使用している獣医師は、診療に使われるべき麻薬が犯罪等に悪用される事がない様、麻薬施用者免許を取得する必要があります。

参考資料:麻薬及び向精神薬取締法

この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずる事等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図る事を目的とするものです。(第1条)
その目的達成の為、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡、譲受、所持等一切の取扱いについて、その誤用や乱用による保健衛生上の危害を防止し、一方でその有益性を活用する為、免許又は許可により禁止の解除を行い、麻薬の取扱を医療 上又は学術研究上に限定する事とされております。
また、流通を制限し、さらに使用の制限、管理義務、保管義務、記録義務等を課す事が明記されております。向精神薬においても病院、診療所等医療機関を除き業として取り扱う必要のある者を許可制又は登録制下におき、譲渡、譲受、施用等向精神薬の流通の適正を確保する為の規制を行っております。