Ⅱ 軽微変更の具体的事例

1.製造業者又は認定外国製造業者の氏名又は名称及び住所

 製造販売しようとする品目の製造に係るすべての製造業者又は認定外国製 造業者について、その製造所(試験検査に係る施設を含む。)ごとに記載す ることとされている。また、原薬等登録原簿に登録されている原薬等を用い る場合は、その原薬等登録業者についても記載することとされている。

Q1:軽微変更で認められる製造所の変更の範囲。
動物用医薬品等の品質に影響を与えない工程とされる試験検査及び包装・表示・保管等に係る製造所の変更(追加)は、軽微変更届により行うことができると解釈してよいか。

A:動物用医薬品等取締規則第33条の各号に掲げる変更でない場合には、軽微変更による変更は可能である。
  具体的には、以下のとおりである。。
  ① 次の条件を満たす場合には軽微変更により製造所を変更できる。ただし、初めて動物用医薬品等の製造業の許可を取得した新製造所を追加する場合にあっては、事項変更承認申請及びGMP適合性調査申請を、1ロットの製剤(原薬の製造業者の変更にあっては、原則として1ロットの原薬)の規格検査成績を添付して行うことがが必要である。
   ア 旧製造所(又は現行製造所)と新製造所の製造方法が同一である。
   イ 新製造所が旧製造所(又は現行製造所)と同じ製造業の許可区分を有している。
  ② 試験検査のみに係る施設を変更する場合は軽微変更届により変更できる。
  ③ 包装・表示・保管のみに係る施設を変更する場合も、①のア及びイの要件を満たす場合は、軽微変更届により変更できる。
  ④ 国内製造所から外国製造所への変更、外国での製造所の変更についても、上記①~③に適合する場合は、軽微変更届出で差し支えない。
  なお、規格の変更は原則として事項変更承認申請の対象となるが、規格の本質を変更することなく、規格値の適合性の判定基準を厳しくするのみの変更を行う場合は、軽微変更に該当する。

Q2:同一成分の原薬製造について許可(認定)を取得している国内又は外国の製造所の追加は、軽微変更届により行うことが可能か。

A:以下のすべての要件を満たせば、軽微変更届による追加は可能である。
  ア 現行の製造所と追加する製造所において、当該原薬の製造方法が同一であること。
  イ 追加する製造所が現行の製造所と同じ製造業の許可区分を有していること。

Q3:次の場合、軽微変更届による変更は可能か。
  ① 会社合併に伴い、製造販売業者の法人名が変わったとき
  ② 会社合併に伴い、製造業者の法人名が変わったとき
  ③ 会社合併に伴い、新法人が製造業許可を新規取得したとき

A:① 製造販売承認申請書の製造販売業者の法人名及び代表者名の変更は承継等の措置を行った上で、修正が必要な箇所に関して軽微変更届出による変更が可能である。なお、その場合、軽微変更届出書の提出は、次回の製造販売業許可更新時で差し支えない。
  ② 合併等により製造業者の法人格が変更された場合においては、当該製造業者における動物用医薬品等の製造の実績がないと判断されるため、事項変更承認申請とGMP適合性調査申請が必要となる。ただし、合併等によっても製造所のGMPの体制(施設、設備、製造方法及び品質管理の方法)等に大きな変更がない場合は、事項変更承認申請書に添付する製剤又は原薬の1ロットの規格検査成績を添付する必要はない。
  ③   ②と同様である。
なお、合併、分社化等による法人格の変更を伴わない単なる会社名の変更の場合は、軽微変更届出で対応することで差し支えない。

Q4:製造業者の名称、区分、許可(認定)年月日及び許可(認定)番号に誤記があったことが判明した場合、軽微変更で認められるか。

A:単なる誤記の範囲と考えられる場合は、軽微変更で差し支えない。

Q5:製造工程に変更がない場合において、同一区分の製造業許可又は外国製造業者認定を有し、適合性調査を受けている製造業者に変更する場合は軽微変更で認められるか。当該製造業者が適合性調査を受けていない場合はどうか。

A:製造工程に変更がない場合において、同一区分の製造業許可又は外国製造業者認定を有し、適合性調査を受けている製造業者に変更する場合は、
軽微変更で認められる。しかし、軽微変更届出と適合性調査申請と合わせて行うことはできないので、適合性調査を受けていない場合は認められない。

Q6:動物用医薬品の原体として食品・工業用製品をやむを得ず転用している場合の当該原体の製造所の変更は、軽微変更届に変更することは可能か。

A:動物用医薬品の原体には、原則として製造業許可又は外国製造業者認定を受けている製造所の原体を使用することとされている。しかし、食品・工業用製品等を動物用医薬品の原体としてやむを得ず使用している場合において、当該原体の規格に変更がなく、また、当該原体の製造所を変更しても最終製品の品質に影響を与えない場合は、当該原体の製造所の変更を軽微変更届で対応して差し支えない。
  やむを得ず食品・工業用製品を転用する場合には、軽微変更届出書に「転用理由書」を添付し、転用が必要な理由とともに最終製品の品質に影響を与えないとする根拠を説明すること。

Q7:改正薬事法施行(平成17年4月)以降の初めての製造販売業の更新において、製造業者から製造販売業者に変更する場合、軽微変更届に変更することは可能か。

A:製造販売業の更新時に、旧製造業者から製造販売業者に変更する場合、動物用医薬品等取締規則第33条各号に該当する変更が含まれなければ、軽微変更届により変更することは可能である。